これは私の友人に起きたことを基にした物語である。
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プロローグ
彼は中村栄二。関東の一般的な家庭に生まれ、高校生になる頃には母はいなかったが、父のもとで兄弟3人、大きな不自由もなく生活していた。一浪してまで入学した大学では、大学院まで進学し、父親には負担をかけただろうと思うこともあったが、応援してくれたのは他ならぬ父であった。
そんな彼も大学院を修了し、社会人となる日がきた。研究職としての就職を希望し続けた結果、入社できたのは人材派遣会社。研究職の特定派遣として、特定の会社に派遣されることとなった彼だが、働き方に不満はなかった。気がかりだったのは人材派遣という性質上、また新卒の新入社員であることも重なり、就業する会社のエリアを指定できないことであった。すなわち長らく実家暮らしであった彼は、人生で初めての一人暮らしというものを体験することとなった。それは彼にとって長期間、家族と離れるという初めての体験となった。
派遣先は関西であった。関西自体に行ったことがなく、新天地、初一人暮らし、新卒の社会人という初めて尽くしの日々が始まった。右も左も分からないことだらけであったことは間違いない。社会人としてのマナーや立ち居振る舞い、お隣さんへの挨拶や周囲の環境など、一つずつ対応することが、本当に精一杯であった。
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つづきます。
ではまた。
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