26歳の冬の話 4

とある人間の記録

つづきです。

前回の話はこちらから。

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ありのままを全て話した。家庭環境のこと、父のこと、今の自分の想い。自分の想いだけでは確実に迷惑をかけるし、これまで教わってきた時間や労力を考えれば申し訳ない気持ちになる。しかしこの時ばかりは、周囲への配慮や心配りといったことは不可能であった。

先輩は、すぐにでも帰るように、とだけ言ってくれた。ありがとうございます、としか言えなかった。それから先輩はすべきことを一緒に考えてくれた。詳細はどうあれ、派遣社員として勤務しているのだから、派遣元の会社への報告は必要だろう、また派遣契約の契約責任者への報告も必要になる。契約期間の更新や書類上のことなど、やらなければならないことは山ほどある。しかしそれを分かっている先輩が、すぐに帰れと言ってくれた。本当に、本当に嬉しかった。

派遣元の会社へ連絡したら、とても怒られた。連絡すべき順番が違うことへのお叱りだった。それ以外は、何も触れられなかった。かえって助かった。

契約責任者への連絡は先輩が済ませてくれていた。実際の契約は会社間の対応になるので、事前連絡程度だけだからと気を遣ってくれた。

その日は昨日までやっていた仕事の整理と連絡だけで終わってしまった。それしかできなかった。翌日は帰省が待っていた。

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ここまでが帰省前のお話です。次回は帰省し、現実を目の当たりにします。

つづきます。

ではまた。

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