26歳の冬の話 5

とある人間の記録

つづきです。今回から新章スタート(再会と現実)です。

前回の話はこちらから。

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再会と現実

帰省の道中はよく覚えていない。おそらく新幹線を使ったのだろうが、色々な想いがよぎっては消えていき、何を想っていたかも定かではない。

多少の荷物は持っていたため、そのまま病院に行っても邪魔になるだろうと、一回実家に帰ることにした。実家は妹、ひとりだった。父と妹の二人暮らしだったところに、父の入院だから当然と言えば当然であった。妹から事情を聞いた。

父は胆嚢ガンであること。末期ガンを示すステージ4であること。詳しいことは聞いても分からないから、まだ聞いていないこと。

発見の経緯はありがちなものであった。

異変に気がついたのは妹だった。やけに父の顔が土気色だったらしいのだ。元々父は病院嫌いだったこともあり、ろくに健康診断やガン検診は受診していなかった。まともに健康診断を受診していないだけでも不安要素があるというのに、そこに土気色の顔である。心配になるのは当然であった。

そこからは素早いもので、嫌がる父を引きずって最寄りの病院に行った。するとその病院では診察もそこそこに「ウチでは診れません。このまま紹介する病院に行ってください。」と言われ、言われたとおりに紹介された病院に行った。そしてその病院での診断結果がステージ4の胆嚢ガンとのことだった。土気色の顔は黄疸が出ていたためだった。

後から分かることだが、不調は半年ほど前からあったようだった。とはいえ半年前に分かっても結果は変わらなかっただろう。

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今回から新章でしたが、いかがでしょうか。久しぶりの帰省を果たし、現実と向き合います。

続きます。

ではまた。

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