26歳の冬の話 6

とある人間の記録

続きです。

前の話はこちらから

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妹と病院に行った。父の乗っていた車を運転して。

その病院に入るのは初めてだった。地元にある一番大きい病院で、家からは車で10分もあれば着く場所にあった。病院にはすぐ着いた。

受付で手続きをし、病室に向かった。後ほど、担当医から話があるとのことだったが、時間がかかるので、先に病室に行くことにした。

父は屈強な人だった。幼少の頃から柔道一筋で、現役だった。段位も、つい昨年に昇段したばかりだった。そのおかげか年齢の割に若々しいとはよく言われ、実際、我が親ながら長らく年齢詐称されていたこともあったぐらい、実年齢より圧倒的に若く見えるタイプであった。もっと言えば、二の腕の筋肉は鍛え上げた人の筋肉を彷彿とさせるような立派なものであった。

再会した父はまるで別人だった。直近に会ったのはお盆、それから4ヶ月も経っていない。それなのに驚くほどの変わりようだった。頬は少しこけたように見え、少し見える首元からは以前の屈強さは消えていた。

「帰って来たよ。」

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「再会と現実」編の第2話でした。父の車を自身が運転するのは初めてだったようで、困惑していましたね。

まだまだ続きます。

ではまた。

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