26歳の冬の話 8

とある人間の記録

続きです。

前回の話はこちらから。

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長くて半年もったら奇跡でしょう。私の経験からは3ヶ月程度です。

思っていた以上に短かった。なんとかならないのか。なんともならないことは、よく分かっているつもりだった。それでもなんとかならないかと考えてしまった。

担当医の先生はすでに父と相談済みとのことだった。それで具体的な治療を始めていないということは、「そういうこと」、つまり治療は対症療法のみとしたのだろう。

何を聞くべきか、分からない。

どうしたらいいか、分からない。

誰か答えを教えて欲しい。

そんな思いがありつつ、なんとか話を聞き終え、父のいる病室に戻った。

「話、聞いてきた。」

「お疲れ様。」

そして再び沈黙。そんな中、妹は着替えの交換や後片付けなどを着々とこなしていた。

沈黙している時間も勿体無いほどに時間はないというのに、どうしたらいいか分からない親子は二人で黙っていた。

「また来週も来るよ」

「お金もかかるし、無理しなくていいからな」

「ありがとう」

そうして病院での再会を終え、仕事のために再び関西へ戻った。

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再会と現実の章は、これにて終了です。父との再会を果たし、どうしようもない現実を突きつけられた。そんな26歳の初冬のお話です。まだまだ続きます。よろしければお付き合いください。

ではまた。

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